コノテガシワ (ヒノキ科)
・陽地を好む樹木
・葉を観賞する樹木
・樹姿を観賞する樹木
1.特徴
枝葉やや垂直に立ち上がり、その先端の枝葉は“手のひら”を広げて立てたような平面になり、幾重にも重ねた形をしているところから、コノテガシワ(児の手柏)の名が有る。
樹高は10m、普通に見られるものは1m程度。
寒さには強いが、強風は嫌う。やや陽樹で乾燥を嫌う。
根は浅く、適潤の粘土質壌土に適し、成長は緩慢。
移植は好まない。
◇コノテガシワの仲間と特徴
○ワビャクダン(ビャクダン)/センシュ
コノテガシワの変種や品種。
ワビャクダンの枝は粗生し、幹は直立している。
センジュは株立ち状に叢生し、主幹はなく樹高は3M。
○タマイブキ
同じヒノキ科のビャクシン(イブキ)の変種。
根元から多数の枝が分岐してかん木状となり、樹幹は球形をなす。
日当りを好み、土質は選ばないが大気汚染には弱い。
雪の重みや、腰掛けたり足で踏みつぶすなどすると形を乱しやすいので要注意。
手入れとしては、毎年5〜6月頃に伸びた新梢を刈り込み、樹形を維持する。
○ハイビャクシン 【別名】ソナレ
ビャクシンの変種。
主幹はなく、樹高は60cm以下、地を這うように生育する。多くは長さ6〜8mmの針葉。
肥えた日照地を好み、芝庭、斜面に広く植える。池畔に植え込み水面上に流枝状に扱う。
最近は、本種の代わりに葉が鱗葉でやや白味を帯びるミヤマビャクシンが使われる事が多くなった。
ビャクシンの植え付けに当たっては、ナシの赤星病(ボケやカリンにもつく)の中間寄主であることを心得る事。
2.手入れのポイント
和洋いずれの庭園にも適し、列植するのが一般的。
強剪定は嫌うので、整姿は5〜11月頃に横枝の上部と側面に伸びた新梢を軽く摘み取る程度にし、下部は残すようにする。
雪をかぶると樹形を乱し、回復しにくくなるので、あらかじめ枝を巻くなどの保護を行う。
3.ふやし方と入手のポイント
繁殖は挿し木で、3〜4月の間に前年枝を穂木に使う。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
ヒメアスナロ (ヒノキ科)
・日陰地を好む樹木
1.特徴
通常アスナロと呼ばれることが多いが、これはアスナロの変種でわい性種。
樹高1m以下。
主幹はなく、株状になって枝が密生する。
特に影地に好適な針葉低木。
葉に白斑の入ったものも見られる。
2.用途と配植
和洋の庭園や公園の植え込み地の樹下や前付け、根締め、土留めなどの他、建物の北側にも使え、広い用途に利用できる。
寄せ植えが一般的だが、列植して境栽にも利用できる。
植え付けに当たっては、葉裏の白さが目立つので正面には葉の表面を見せるようにする。
3.手入れのポイント
剪定または刈り込みは初夏と秋で、株の下部は横枝を、上部は立ち枝を、またからみ枝も除いて整姿する。
4.ふやし方と入手のポイント
4月上〜中旬に、前年枝を挿し木する。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
キャラボク (イチイ科)
・日陰地を好む樹木
・樹姿を観賞する樹木
1.特徴
イチイの変種。イチイは高木であるが、キャラボクは樹高1m〜2mの低木。
雌雄異株。
枝は横に密に広がり、葉はすべての枝にラセン状に密につく。
北海道南部より全国に生育するが、鳥取県の大山地方に多く自生している。
関東以北ではイチイを刈り込みものに多く使うが、関東以南では仕立物に多く使う。2.用途と配植
ほとんどは半円形に仕立てたものを和洋の庭園や公園などの芝生内、植え込みの前付け、車廻し、根締めなどに用いるほか、流枝作りのものを池畔に使う事もある。3.手入れのポイント
あまり強光の当たる所よりもやや陰のさす場所の方が生育はよい。
土質は有機物を含んだものがよく、乾かない場所にやや高植にする。
刈り込みの時期は5〜6月頃。
大きくしたいものは間隔をおいて二回行い、飛び枝を軽く取る程度にする。
大きさを止めたいものは多少深めに切り込む。4.ふやし方と入手のポイント
繁殖は実生と挿し木による。
挿し木は前年枝を用い、1時間近く水揚げしたものを赤土に挿し、上部をビニールか、ポリ袋で密閉する。
時期は三月上旬頃がよい。
活着後は肥培して刈り込みながら仕立ててゆく。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
タギョウショウ (マツ科)
・陽地を好む樹木
・樹姿を観賞する樹木
1.特徴
多行松は、マツ科の変種で、滋賀・岡山・宮城・岩手の各県に分布しており、庭園樹として北海道以南まで植えられている。枝葉はアカマツよりも繊細で、日当りの良い場所を好み、湿気を嫌う。主幹はなく、根元近くから多数の幹が株立ち状に伸び、樹冠は自然に半球形になる。樹高は5〜6m、成長は遅く、樹齢は50年くらいと短命。造園材料として使われているものはクロマツの台木に接ぎ木したものが多く、葉はやや硬い感じ。樹高の1〜2mのものが多く使われている。
◇タギョウショウの仲間
○アカマツの品種にウツクシマツ(美松)があり、葉はやや硬い感じ。滋賀県に自生地があり、天然記念物に指定されている。
2.用途と配植
土堤上や、園路に列植するのが一般的。芝生の庭園にも合い、サツキやオオムラサキ、ドウダンツツジなどと配植すると瀟洒な感じを出す。
3.手入れのポイント
かさ状の樹形は自然と作られるが、これを長く維持するためには毎年丁寧な管理を行う必要がある。
5〜6月頃に伸びた新芽(みどり)を摘み取る。
秋末には込んだり、からんだ大小の枝や枯れ枝を切り取り、古葉取り(もみ上げ)も小枝まで丹念に行う。
細かい枝が多数密生するので、常に枝抜きをするように心掛けると繊細な美しい樹形を保つ事が出来る。
幹の基部からは芽吹きしないので、傷をつけて枯らさないように注意する。
4.ふやし方と入手のポイント
繁殖は接ぎ木(割り接ぎ)を行う。
時期は3月頃が良い。台木はクロマツが多いが、アカマツが理想的。アカマツ台はクロマツ台に接いだものより葉がしなやかなので区別がつく。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
ハイマツ (マツ科)
・陽地を好む樹木
・寒冷地に勧められる樹木
1.特徴
本州の中部以北、特に北海道の高山などに多く見られる寒地性のマツ。
主幹はなく、分岐した幹枝は絡み合いながら匍匐して四方に広く伸びる。
樹高は1m。
葉は3稜形の針葉で長さは3〜5cm、両側面は白緑色を帯び、枝先に輪生する。
六月頃に花がつき、のちに球果となって種子を結ぶ。
2.手入れ・その他
自然的な条件から一般的に植える事は難しいと思われるが、北海道のように常緑性の広葉低木が少ない地方ではハイマツの利用が考えられている。
千島や樺太では海岸でも見られる。
手入れは、他のマツと同じようにみどり摘みによって樹形作りが可能。
繁殖方法は、地に着いた茎から自然に発根して成長するので取木が可能、また実生してもよく発芽する。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |