苔の魅力
コケはそれ自体が美しい花を咲かせるわけではなく、また、コケ自体は小さく、
見栄えのしない植物です。しかし、コケが沢山の集まってコロニーを形成した時に
他の植物では表現できない美しい光景が広がります。
森の中の樹齢を重ねた大木や、不動の岩などに広がってつくコケの緑は
大変美しく清しい風情を感じさせてくれます。
コケのある風景には様々な趣があり、情緒的な雰囲気を醸し出すことで
古くから私たち日本人の「わび」「さび」の思想や禅の心と関わってきました。
庭園で地被として多用されてきたコケも、最近では芝生やタマリュウなどに変わってしまい
、いわゆる「苔寺」と呼ばれる一部の社寺でしか見られなくなってしまいました。
コケを庭園に利用して「古色」、「閑寂」の情緒を作り出すことができます。
特に、「さび」の境地である茶室へ続く露地には、苔むした風景が欠かせません。
飾り気のないコケの姿と色合いは庭を眺める人々に静かな喜びや安らぎを与えてくれます。
芝生とは違って、コケは種類を選べば日陰地や陽地にもよく生育させることができます。
これからは、もっと気軽に苔とふれあう事ができるように、身近な存在になれるように
みなさまにご提案させていただきたいと思います。