タケ・ササ・バンブー

特徴

タケは世界中に広く分布している。
タケは温帯から熱帯にかけて50属、1200種が知られ、雨の多い地方に豊産し、ことに熱帯地方のものは巨大になる。
分布の北限はアジアでは北緯50度のサハリン、新大陸では北緯40度の北アメリカ・メリーランド地方となる。また、南限は南緯42度のチリ・チロエ島。
タケ類がまったく自生しないのはロシア本土、ヨーロッパ北部、カナダ、オーストラリア。ただし、今ではロシア領を除いて栽培が行われている。
日本ではモウソウチクは北海道函館市、ハチクは札幌が栽培の北限となっている。タケ類は世界中の庭園などで多くの植物と組み合わされて愛されている。

タケの仲間

タケは日本だけでも600種以上ある。仲間を大別すると、タケ・ササ・バンブーに分かれる。
タケの代表はモウソウチク、マダケ、ホテイチクなどで、茎が大きく豪華な庭に向く。また、ササの代表としてはクマザザ、ネザサ、シノ、ヤダケ、カンチクなどで、小型で美しいものが多く、石つきや水鉢の寄せ植え、植えつぶしなどに向いている。
バンブーの代表としてはホウライチク、ホウオウチク、コマチダケなどがある。
バンブーは地下茎がないので他人の庭に入り込んで迷惑をかけることもなく、切り枝としても水揚げが容易なので広く庭園に取り入れられている。

タケ類の寿命

大きい建物の中庭などに植えたものであればモウソウチクで12〜13年、マダケでは13〜16年間ほど観賞できる。一方で、道ばたなどに植え付けたものは一年程度で終わる。
環境と管理の仕方で変わる。タケの寿命は、植え場所、施肥、灌水などの管理によって長短が顕著に現れるので注意が必要。

用途と配植

庭のタケを一層美しく見せるためには、タケを植えた地面を緑の地被植物で覆い、併せてタケの立ち上がりを見せるような配植と剪定をする。
地被植物としては、ヒメジャノヒゲ(タマリュウ)、ヒメヤブラン、暖地ではダイカンドラ(ダイゴンドラ)などが向いている。
これに用いるのは、4〜5cm以下で、冬の緑がひときわ美しく、日光不足に耐える補償点の低い植物(弱い日光で光合成できる)に限られる。
タケ・ササの緑や縞模様(斑)を、いつまでも美しく保つために適した環境を選んで植えるためには、強風や日光を防ぐための塀などを作る必要がある。
タケの庭園のよさは日中も夜間も美しいことである。夜のタケを美しく見せるために隠し電灯を用いることがある。長さ7〜8mのダミー(樹脂製または塗装したタケ)のタケに電灯を埋め込み夜間照明にする。

手入れのポイント

1)植え付け
①植える時期
バンブー類は夏と秋に筍(たけのこ)が出るので、5月頃(5月13日を竹酔日といい、タケ植え付けの適宜とされている)に茎を2/3に、枝を1/3に切り詰めて植える。
タケ・ササの類は、地下茎のみを植える場合は3月に行う。
クマザサとモウソウチクは3月上旬に行い、特にモウソウチクは細めの地下茎を用いる。
カンチク、シホウチクは秋に筍が出るのでバンブーに準じるが、地下茎のみの移植は困難。
②適地
タケ・ササ類は表土が深く排水の良い所を好む。更に、冬の北風などの強風や強光線が当たらない所が適する。北向きの庭か、東向きの庭が適地で、西向きの庭には適さない。西、または南向きの庭に植えたい場合は、塀を高くして日光と風が直接タケの茎に当たらないように工夫が必要。特に、キンメイモウソウチク、キンメイチク、キンチクにはこの条件が揃わないと見物にならない。
③完成竹の植え付け
1)苗の作り方
竹やぶ全体に充分灌水を行い、土を軟らかくしておく。苗の選定はタケの年齢を確かめて、1〜2年生のものに限る。
一才のタケは株元に皮がついており、二才のタケは全体に緑が濃いのですぐにわかる。
掘り起こす根回りは、苗の直径を1とすると、周囲に1.5の土をつけるようにし、根鉢の直径が4となる程度に掘り取る。
掘り取りは無理せず、完全に掘り取ることが必要。
その後、茎の長さを決めて心を止める。枝が二本ずつ出ているので、長い方を6〜8節、短い方を3〜4節残して切る。
苗床に移植する時は一本ずつコモ巻き、山の北面など、日と風の当たらない場所に移植する。
直立させて、支柱を立てて固定し、充分な灌水を行う。
2)植え付け
仮植えしたものを2〜8月までの間に、庭に定植する。
仮植えせず、タケやぶから掘り取ってすぐに定植する場合は、2月下旬〜3月中旬の間に行う。
なお、トウチク、クロチクなどの中小型のタケは3月に掘り取り、枝を3、4節で切って、苗としても差し支えない。

2)間引き・剪定・整姿
タケは庭植、盆栽などを問わず自然形が最も美しい。
茎を切る時期は、若い筍が20〜30cmに伸びた時点で行う。遅すぎると枝が下からつかず、水平にも伸びない。切り方は込みすぎて茶褐色になった古い茎や、梢端や枝が折れたもの、虫食いのものを株元から切る。
タケが美しい時期は年齢的には3年生まで、密生している場合は2年生までなので、順次古いものから整理する。
トウチクはタケの中でも特に剪定を必要とする。トウチクは枝が長く、葉も大きいため自然の姿では観賞に値しない。筍が成長してタケの皮を落とした7月頃に、茎を2〜3m、枝を10cm内外で剪定する。8月には荒々しい枝葉を伸ばすので、この時期に古茎を株元から切り、2年生のものを生かすように仕立てる。長く伸びた茎や小枝は間引くが、特に枝は上部ほど強く行う。タイサンチクも同様に行う。
カンチク、シホウチクは、秋生筍で、梢端が寒さで枯れるので茎を多く林立させると梢端だけに葉を付けてしまい観賞価値がなくなるため早めに間引きする。

3)病害虫
タケは組織が硬いので病害虫の被害は少ない。古いタケの間引きを行えば殆ど病害虫の心配はないが、タケケムシ(タケノホソクロバ)がトウチク、スズコナリヒラ、ネザサなどについた場合は捕殺する。また、タケノスゴモリダニがクマザサ、アズマザサ類についた場合は殺ダニ剤を10日おきに2〜3回散布する。

4)土壌と施肥
タケには施肥が必要。肥料の比率は、リン酸5・カリ分10・チッ素5の割合とし、1a当たり、過リン酸石灰0.3kg・硫安0.4kg・硫酸カリ0.1kg・珪酸カルシウム10kgを、3〜8月の間に2回に分けて施す。施肥の時期は筍の出る一ヶ月前と6〜7月にかけて行い、穴を掘って分肥する。冬期は根の吸収力が衰えているので避ける。特に、珪酸カルシウムはバンブー類などの南方系のものや晩秋に筍が出るシホウチク、カンチクなどのタケ類の耐寒性と茎の耐久力を増す意味で施す必要がある。ミリオンなどの商品名で売られている。

ふやし方

苗の掘り取りによる。
掘り上げたら、直ちに根を巻き、剪定も手早く行い日陰に置く。掘り取った苗は短時間でも放置せず、慎重に扱う。茎の基部は細くもろいので、少しでも傷むと活着しない。移植したタケが枯れやすいのは掘り取りの失敗が原因。
定植時の植え穴は大きく掘り、地面の高さに植え付ける。
根鉢の下まで丁寧に土を突き込み、水極めのような植え方は行わない。
定植後のタケは横に添え木を渡し、タケ同士をシュロ縄で縛り、支柱を立てて倒れないように固定する。タケは奇数本ずつ密に植える。
灌水は「葉水」をかけ、葉からエチレンホルモンの発生を促すと緑が美しくなる。