アジサイ  (アジサイ科)

・花を観賞する樹木

1.特徴
ガクアジサイを母体として、日本で作られた園芸植物。
株立ちし、高さ1.5m。
葉は厚い方で、梅雨の頃、花がまり状に丸くつき、花色は白、赤、青などがある。白花以外は酸性土壌で藍青色、アルカリ性では赤みを増すなど、リトマス試験紙と逆の反応を示す。
また、肥料要素によっても同様の影響があると言われている。
西日の当たらない所か、半日陰地の、腐植質に富んだ水分の多い肥沃な土地を好む。

◇アジサイの仲間
○ガクアジサイ
ガクアジサイは、花冠の中心部に小型の両性花が多数集まり、周辺に単性の装飾花が並ぶことによりこの名がある。
花色も、各種がありアジサイよりいっそう日陰に耐える性質があり、下木としても広く用いられている。
○アマチャ
アマチャは高さが70cmで、ヤマアジサイとともに茶人好みの花や葉をつける。
○ハナアジサイ
ハナアジサイ(通称ハイドランジア、西洋アジサイ)は、アジサイ類が中国を経て欧米に渡り、主として鉢物用に500品種以上が改良されたもので、花房が大きく色彩も多様。
鉢作りのものを花壇に使うと、花のボリュームと集団の美しさがより豪華になる。
ただ、耐寒性は日本のアジサイ類より劣り、花色も変化しやすいことから、庭園用としては品種を選択して使う。

2.用途と配植
庭園や公園で広く用いられ、池畔や半日陰の片隅でもよく生育する。
鎌倉の明月院がその名所として知られるように、最近、観光資源にする所も出てきた。北海道南部まで植えられる。

3.手入れのポイント
植え付けにあたっては堆肥、鶏ふん、油かすを入れて保水と肥効をはかる。
開花後は、花殻を取るとともに、込み枝や弱小枝を除き、充実した枝の中間のしっかりした定芽で切り詰める。
花芽のつくのは10月上・中旬なので、それ以降の整姿は注意する。
古株や大株で枝が密生するようになったら、間引きを多くするか株分けをした方が花つきは良くなる。
多雪地帯では秋末に枝を束ねておく。

4.ふやし方

春先に前年枝、梅雨期に当年枝を挿し木するか、春に株分けしてふやす。
なお、花色を開花時に確かめておく。
また、鉢作りのものを庭に植えると、花色が変わったり、濁るものがあるので、土壌酸度を確かめるとともに、品種の特性に応じて土の酸度を調整する。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ウツギ   (ユキノシタ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
高さ1.5〜2m、よく分枝して5〜6月に当年枝の先に穂を出し、白色5弁の花をつける。日当りを好み強健であるが、極端な痩せ地や乾燥地を嫌う。

◇ウツギの仲間
○ヒメウツギ
高さ1m、枝が細く伏せ状になり花や葉もやや優美で耐陰性もある。
保水力のある有機質土壌を好み、下木や石添えとしてもよい。

2.用途と配植
主に、生垣や境界用に植えられる。

3.手入れのポイント
植え付けに当たっては上部を強く切り詰め芽出しを良くする。
多肥を好むので、堆肥に鶏ふんなどを元肥にいれる。枝は放置すると乱れがちなので、古枝の更新をかねて間引きする。
アブラムシにはスミチオン乳剤、うどんこ病にはトリフミン水和剤を散布する。

4.ふやし方
春の発芽前の挿し木か、株分けによる。
一般的には挿し木によって生産する。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

タニウツギ   (スイカズラ科)

・花を観賞する樹木

1.特徴
高さ2〜3mに叢生し、5〜6月に当年枝の先や葉腋に、ろうと状で先が5裂した紅色の花をつける。日当りでも、半日陰でもよく、また土質もあまり選ばないが、乾燥を嫌う。
耐寒、耐暑性は共に優れている。

◇タニウツギの仲間
○ハコネウツギ
ハコネウツギは花が白から紅紫色に移る。タニウツギをしのぐ強健で早期緑化にふさわしいもの。
○オオベニウツギ
花の色は淡紅色、別種のキバナウツギは淡黄色で、いずれもまれに庭園に植えられる。

2.用途と配植
公園・庭園用として樹下にも耐えることから、寄せ植え、群植用としてハコネウツギとともに多く見られる。

3.手入れのポイント
特に剪定しないでも樹形がまとまり、大株ほど見応えがあるが、次第に樹形も乱れ、花つきが悪くなる。また、周辺の木を圧するので、古いものは地際から切り戻すか株分けを行う。

4.ふやし方
前年枝を3月、当年枝を梅雨期に挿し木する。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ウグイスカズラ   (スイカズラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
高さが1.5〜3mになる小低木で、3〜4月の葉のでる頃に細長い柄をつけ、長さ1.5〜2cmの小さなろうと状で淡紅色の花をつける。
6〜8月には直径1cmの鮮紅色の果実を結び、食べられる。
よく似たものにヒョウタンボク、別名キンギンボクがあり、花は初夏に白色から黄変し、8〜9月に直径6mmくらいの赤い実を二個接着してつける。
まれに庭に植えられるが、これは有毒。
共に、日当りがよく有機質に富んだ壌土を好む。

2.用途と配植
庭園の樹間に植えれば、花と紅果が楽しめる。

3.手入れのポイント
成長は遅い方なので、剪定は根元から徒長枝や無駄枝を除く程度。
花は前年枝につくので、強い剪定は行わない。
施肥は、寒肥と花後にリン酸、カリ分を多く与える。

4.ふやし方
実生はとりまきし、挿し木、株分けは春の発芽前に行う。
一般的には販売品は少ないので自家繁殖を行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

オオデマリ 【別名】テマリバナ   (スイカズラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
庭にも植えられるヤマデマリの園芸品種。
高さ1〜3m、4〜5月頃白い中性花だけの径6〜7cmの手まり状の花を前年枝の先端と葉腋からの短枝の先につける。
1mくらいでも花を持ち、寒さにも比較的強い。北海道ではよく似たテマリカンボクが用いられる。
日当りでも半陰地でもよく、有機質を含む乾燥しない肥沃地を好む。

◇オオデマリの仲間
○カンボク
山地に自生し、高さが2〜4m、樹皮はコルク質になる。
4〜6月に新梢に径6〜12cmの白黄色の花序をつけ、10月には実が紅熟し美しい紅葉もする。
花序の中心は小型の正常花であるが、周辺には梅花状の装飾花がつく。
寒地向きの野趣にに富む庭園の添景用。
○テマリカンボク
カンボクの園芸品種で花序全部の花が装飾花になり、オオデマリより大きくまり状に咲き、これもテマリバナと呼ぶことがある。青森や秋田では古くから栽培されてきた北国向きの花木。
○チョウジガマズミ
若い枝や葉に灰色の細毛が密生し、5月頃内面が白く外面が淡紫紅色のチョウジ形の芳香のある花を、短枝の先に集散状につける。
本州の中国地方を中心に自生し、チュウゴクガマズミの別名もある。

2.用途と配植
庭園・公園の装飾用で単植か寄せ植えにする。

3.手入れのポイント
植え付けは春、寒さが去ってからとし、堆肥や腐葉土を入れて植え付ける。
年々新しい枝をよく出し、花をつけるので3年程度は切らずに開花させる。
古くなった枝は2〜3月頃、数年に分けて枝の根元から切り、更新する。
アブラムシにはスミチオン乳剤が有効。
毎年堆肥を2月頃に補給するとともに、花後には化成肥料を与える。

4.ふやし方と入手のポイント
挿し木は3月中〜下旬が適期。
木が高く伸びたものは春先に環状はく皮をして取り木する。
入手の際は3年生以上の根の多いものを選ぶ。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ガマズミ   (スイカズラ科)

・果実、実を観賞する樹木

1.特徴
全国の山野丘陵に見られ、様々に地方名がある低木。
高さが1.5〜2.5M、5〜6月に短枝の先に多くの白い小花を房状につけ、9〜11月には実が紅熟し食べられる。
陽光地、半日陰ともに向き、強健で移植も容易。

◇ガマズミの仲間とその特徴
○オオカメノキ【別名】ムシカリ
葉に虫食いの穴が目立つことからムシカリの名もある山地性の大型の低木。
葉の長さが7〜15cmある大きな円状。4〜6月に枝先に5弁の白い装飾花を散生させる集合花をつけ、8〜10月に赤色から黒変する実をつける。
秋の紅葉も美しい寒地向きの樹木。
主として庭園、特に茶庭に好まれる。
○オトコヨウゾメ
本州以西のやや乾いた明るい山地に多く、高さ2mになる。5〜6月に小枝の先に散房状の穂を出し淡紅色の両性花を下垂させて開く。果実も長卵形の小型のかれんなもので、赤熟し紅葉もよいもの。
庭の樹間の陽地または、半陰地に植えられる。

2.用途と配植
公園、庭園の添景樹や下木として野趣があり、野鳥の誘致にも役立つ。

3.手入れのポイント
新しい長枝を残して翌年それに開花させるが、その他は過密の枝を冬期に軽く切り、整姿するにとどめる。

4.ふやし方
挿し木は発芽前に、実生は果肉を取り除いてとりまきし、株分けや環状はく皮で取り木も可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

オウバイ 【別名】迎春花   (モクセイ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
2月中〜下旬から4月、葉の出る前に径3cmくらいの6深裂の黄花をひらく。
原産地は中国北西部で、寒さに強く、北海道から九州まで広く栽培されている。

◇オウバイの仲間
○ウンナンオウバイ【別名】ウンナンソケイ、オウバイモドキ
中国雲南省原産の常緑樹で、6〜10裂する黄色花を5月頃咲かせる。
半日陰の所でも育つ。樹姿はオウバイに似るが、大型で枝もややつる性になり、強健。繁殖は挿し木による。

2.用途と配植
庭園で株立ち作りのほか、四つ目垣に這わせたり、石垣に乗らせてもよく、陽光地を好み、やや粘質の土壌で排水のよい所に向く。

3.手入れのポイント
生育が旺盛で古枝は長く地上を這うと根を生じ、立ち上がった枝は上に上にと花をつけるようになるので、先端を切り詰めたり、込み枝を間引く。
6〜8月頃前年枝の葉腋に短枝を出して花芽をつけるので、その前に剪定を終わらせる。
肥料は寒肥を重点にし、花後と8〜9月にリン酸、カリ分を多く与える。

4.ふやし方
挿し木も、発根している枝の取り木も極めて容易。
春から7月頃まで可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ウチワノキ   (モクセイ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木
・果実、実を観賞する樹木

1.特徴
朝鮮原産。高さ1m。
そう状の株立ちになり、3〜5月頃、葉の出る前にレンギョウに似て桃色がかった白色4裂の径1〜1.5cmの花をつける。
耐寒性が強く丈夫で、若い枝は紅色を帯びるか、褐色。
枝は四角で、レンギョウのような姿になる。
花後、長さ2〜4cmくらいの円盤状の実をつけることから、この名称がついた。

2.用途と配植
日の当たる場所がよく、湿地でない限り寒地でもよく生育し、早春の珍花としてまれに庭に用いることがある。

3.ふやし方
挿し木が最も容易であるが、枝垂れた枝を地中に伏せて発根させたものを取り木することもできる。実がなれば実生も可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ライラック 【別名】ムラサキハシドイ/リラ(仏) (モクセイ科)

・陽地を好む樹木
・寒冷地に勧められる樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
南ヨーロッパからコーカサス、アフガニスタンの原産。
花に芳香があることから、世界的に寒地の花木として人気がある。

類似種や改良品が多く、札幌では市の木にしている。
あまり暖地でなければ、強い品種を選ぶことと、栽培法により楽しむことができる。

2.用途と配植
日当りの良いあまり乾かない肥よく地で、排水がよく、やや粘質の土壌の所を選ぶ。あまりほかの木の間に植えず、独立させて植える。
夏の間は涼しい所を好む。植え付けは発芽前か、落葉後に行う。

3.手入れのポイント
夏と冬の乾燥を嫌うので、根元に堆肥やピートモスなどを敷き、台木の芽やひこばえが出たらなるべく早く切り取る。
花芽は花の終わる頃に分化するので注意が必要。
しだいに高くのびるので、立ち枝は交替に下方から切り詰める。
肥料は寒肥として化成肥料など、リン酸とカリ分を多く与える。
カイガラムシがついたら早めに除去する。テッポウムシは刺殺か殺虫剤の20〜30倍液を注入する。

4.ふやし方
3月にイボタを台木に割り接ぎするか、ひこばえの株分けや挿し木を春先に行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

イボタノキ   (モクセイ科)

・陽地を好む樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
北海道以南の日本各地と朝鮮、台湾に自生し、6月頃白色小型の花をつける。
枝にイボタロウムシがつき、家具などを磨くイボタロウを出す。

寒さや暑さに強く、枝葉を細かくよくだし、刈り込みに強いのが特徴。

◇イボタノキの仲間
○オオバイボタ【別名】カリフォルニアプリペット
葉がやや大型でイボタノキと同様に使う。また、斑入種もある。
○セイヨウイボタ【別名】ヨウシュイボタ/プリペット
ヨーロッパ、北西アジアの原産。斑入葉の品種もある。
プリペットとも呼ばれ、近年国内の需要が増えている。
葉に光沢があり洋風庭園の生垣に好適と言える。

2.用途と配植
主として生垣に用いられる。

3.手入れのポイント
芯止めと枝の刈り込みは、理想的には芽が動き出す

3〜4月、7月、10〜11月の年三回であるが、このほか随時行ってもよい。
ハマキムシの害があるので殺虫剤を散布する。

4.ふやし方
挿し木、または実生による。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

レンギョウ   (モクセイ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国原産。北海道から沖縄まで植えられている。
春の代表的花木の一つで、3〜4月頃4深裂した黄色い花を開く。
葉は卵形で上半部にきょ歯があり、三出の複葉もです。枝は細く長く伸びるので、その枝垂れた姿が喜ばれる。日当りの良い肥よく地を好み、樹勢は強く耐寒性耐暑性がある。

◇レンギョウの仲間
○チョウセンレンギョウ
朝鮮半島の原産で、現地では多く用いられているが、日本では植物園などで見られる程度。黄色はいっそう鮮やかで、葉は長卵形が普通。まれに2〜3裂する。
○シナレンギョウ
中国を原産地とし、葉は長卵形でやや厚く、花はやや淡色であるが、強健なので、公園や庭園に多く用いられる。
この木をチョウセンレンギョウと誤解している場合が多い。
ヤマトレンギョウは本州中国地方の原産で、葉は卵形で裏面と柄に毛があるので区別できる。

2.用途と配植
和風庭園向きの上品さがあり、高く伸ばして枝を垂らすか、四つ目垣や金網柵などに列植してからませたりする。

3.手入れのポイント
立ち木仕立てにするには1.8〜2mまで支柱を与えて育て、胴吹き枝やひこばえを除き、上部から枝を四方に出させる。
あとは、適宜間引きと8月の花芽分化前に3〜4芽を残して切り詰めを行う。
施肥は寒肥を与えれば充分。

4.ふやし方
挿し木が最も容易で、春の発芽前に行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

シモツケ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
日本各地の山地に自生し、葉は長楕円形〜広被針形で、5〜6月頃淡紅色で5弁の小花を多数開く。樹勢は強健で土地を選ばず、萌芽力も旺盛。
濃紅、白花種もあり、また、わい性種もある。

◇シモツケの仲間
○ホザキシモツケ
北の山地に自生し、花は夏に穂状につく。寒地でよく日が当たり、湿り気のある所に適している。
○マルバシモツケ
葉が円状卵形または倒卵形で白花をつける。本州と北海道の高山性で、これも寒地に向いたもの。

2.用途と配植
庭園、公園に単植、列植、群植を行い、自然系のほか、刈り込み仕立てにもできる。

3.手入れのポイント
あまり手をかけなくてもよく、密生したら時々古枝を根元から切って更新する。
うどんこ病が出たら殺菌剤を2〜3回、アブラムシにはスミチオン乳剤を散布する。

4.ふやし方
春先に、挿し木または株分けを行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

コデマリ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国南部の原産。
樹高は1〜2mに叢生する。4〜5月に新しい枝先に散房花序を出し、白色小型の5弁花を半球状に密につけて咲く。樹性は強健で、北海道南部まで植えられ、日が当たり、保水と排水のよい肥よくの所を好む。
成長は早く、萌芽力があり、自然形仕立てのほか、刈り込みもできる。

◇コデマリの仲間
○トサシモツケ
コデマリに似ているが、小型で葉が細かくて小さい種類。
キバコデマリは、葉が幅広く新芽が黄金色で美しい。

2.用途と配植
庭園、公園で花木として添景用に寄せ植えとするほか、下木や列植も行う。

3.手入れのポイント
自然に枝を垂下させることを主体にし、3〜4年枝は更新するため、冬期に根元から間引き剪定する。
夏期の乾燥を好まないので、植え付けのときと寒肥に油かすや鶏ふんを共に堆肥を入れる。
また、敷き藁を行うと効果がある。
花芽のできるのは10月に入った頃なので、それ以降の剪定は避ける。

4・ふやし方と入手のポイント
2月中下旬に挿し木を行うか、枝を2〜3本つけて大株の株分けを行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ニワウメ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木
・果実、実を観賞する樹木

1.特徴
中国の南部、北部の原産。樹高は1.5mに立って叢生する。
4月頃、淡紅色の5弁で一重の花を枝に連ねて開き、花後、紅果を結び、生食できる。
樹性は強健で、たいていの土地で育つが、日当りがよく肥よくでやや粘質土の所が適地。

◇ニワウメの仲間
○ニワザクラ
白または淡紅色の八重咲きで、リンショウバイの別名がある。

2.用途と配植
一本立ちよりは、やや離して寄せ植えにし、大株で植えるとボリュームが出て見事。和洋の庭や公園によい。

3.手入れのポイント
植え穴には堆肥や腐葉土を入れ、なるべく早春に植える。
特に整姿の必要はなく、込み枝や枯れ枝がでたら切り取る。
強い剪定を行った時には花後と9月上旬に化成肥料か油かすを施し、樹勢の回復につとめる。

4.ふやし方
株分け、取り木でふやす。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ニワナナカマド  (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国北部の原産。樹高3〜5m、全株が無毛。
根元から小枝を多数だし叢生する。地下に葡萄枝を伸ばして新しい株を作る。
葉は15〜17の奇数羽状複葉で、6〜7月頃新梢の先端に大型の花穂を出し、白い小花を多数つける。樹勢は強健だが、肥よくでやや湿り気のある土質を好む。

◇ニワナナカマドの仲間
○ホザキナナカマド
北海道と青森県の一部、千島、樺太などアジア北東部の原産。樹高1〜2m。
若い枝や葉に毛がある。
山地で秋の紅葉が美しいことで知られるナナカマドとは葉形が似ているが、ナナカマドは高木で、赤い実を付けるところが相違する。

2.用途と配植
公園、庭園に用いられるが、樹形が大きく、また乱れやすいので常緑樹の前の広い場所に植え込む。

3.手入れのポイント
3月と7月頃、整姿、剪定を行い、また、寒肥を与える程度。

4.ふやし方
3月に、挿し木または株分けを行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

バラ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
栽培歴が非常に古く、紀元前1200年頃から始まり、その後3000年を経てアジア系との交配により四季咲き系が生まれ、後には大輪咲きの作出、黄色系の血を入れた結果の多色化など改良が進んだ。
今日では1万を越すと言われるほどの品種が生まれている。
たいていの品種に芳香があり、樹性も概して強健で寒さにもよく耐えるが、日当りを好むとはいえ乾燥に弱く、多肥を好み、病害虫の防除にも配慮が必要。

◇バラの主な系統と特徴
○ハイブリッド・ティー
普通にバラと呼ばれている四季咲きの大輪系。
高さが0.5〜2mの株立ちで、一株に一花もしくは少数花が咲く。
○フロリバンダ
房咲き系とも呼ばれるように花は中輪ながら、1枝に数輪が房状に多く咲く四季咲きで、耐寒性、耐病性ともに強く、色彩の幅も広いので造園上好ましい。
○グランディフロラ
ハイブリッド・ティーとフロリバンダの間で作られたもので、樹高は2〜3m。
四季咲きで大輪、多花、強健。
○ポリアンサ
四季咲きの小輪房咲き。多花性。
○ミニアテュア
ごくわい性で花も小輪の四季咲き。縁植えに適する。
○オールドローズ
ハイブリッド・ティー以前の古い品種をオールドローズと呼ぶ。
それに対し、ハイブリッド・ティー以降の5系はモダンローズ(現代バラの系統)になる。
オールドローズには、ハイブリッド・パーペチュアル(HP)、ブルボン系、ダマスク系などの多くの系統がある。概して、中〜大輪で、房咲き、一季咲きないし二季咲きの品種が多い。
樹性は、つる性と株立ち性、半つる性と様々。
花の香りがよく、多花性なところから近年見直され愛好家が増えている。
イングリッシュローズはこのオールドローズの仲間と主にハイブリッド・ティーの交配で作られたため性質もその中間になる。

2.用途と配植
公共庭園では、ハイブリッド。ティー系とフロリバンダ系でまとめられることが多く、個人庭園ではイングリッシュローズやオールドローズの植栽がふえている。配植にあたっては各品種の樹性や高さ、開花期、配色の組み合わせなどに考慮を要する。

3.手入れのポイント
・植え付け
日照は多い方がよく、最低1日4〜5時間は必要。風通しもよく、乾燥の激しくない所が良い。
・土質
水もち、肥料もちのよい土が適しているが、砂質や軽い畑土、赤土、荒木田のような重い土には堆肥などをじゅうぶんに入れて改良する。
乾燥しやすい夏と冬にはマルチングを行い保護する。

  • 植え付け時期
    新苗(前年の夏から秋に芽接ぎをしたか、12〜1月に切り接ぎをした小苗)は、売り出される4月中旬〜5月下旬の間に植える。
    大苗(新苗を畑で養成し11月〜翌年2月頃の間に売られる養成苗で、2年苗が多いが、3年苗もある)は、12月初旬もしくは2〜3月の間に植え付ける。
    ・苗の選び方
    接ぎ口が完全に接着し、節間が伸びすぎず、太くつまった無病の健全苗で、根には根頭がん腫病やネマトーダ(ネコブセンチュウ)がついていない、張りのよいものであること。品種の間違いなども含め、信頼できるところで購入する。
    ・苗の植え付け
    植え穴は50cm立方に掘り、堆肥を大バケツ一杯半、鶏ふんをシャベル二杯、油かすをシャベル一杯を土と混ぜて元肥とする。
    苗は鉢仕立てのものなら植え傷みがないが、水苔で巻いたものであれば、前夜から日陰の水の凍らないところで一晩水に浸けておく。
    植え付けにあたっては元肥の上に赤土など肥料気のない土を入れてやや高めに植える。
    大苗では、接いだ部分がやや隠れる程度、新苗では、芽接ぎ部分が地表から出る程度にする。
    いずれも接ぎ部に注意し、根を広げて静かに土を入れ、穴の回りに土を盛って大バケツ一杯の水をたっぷり与え、支柱もつける。
    なお、12月植えの場合は根の発育は速いので冬越しの寒さよけとして根元に土を盛る。
    ・植え付け後の管理
    新苗を育てるコツは、秋までは蕾を必ず摘んで木を育てることと、台芽のかき取りを続けること。また、リン酸とカリ分の多い肥料を薄めた液を週1回、灌水の代わりに行うこと。
    4月中旬頃植えたものは6月頃に太いシュート(新梢)が出て蕾を持つので、これが小豆粒程度になったら先端を5〜10cmほど摘む。
    ・春の剪定
    毎年1回、開花をよくする骨格作りのために、植たてののも以外は必ず行う。
    新芽が動く前の2月中旬〜下旬が適期。
    フロリバンダ系は前年の発生枝を主枝として浅く切り、二年枝は予備枝としてやや深めに切り、三年枝は切り捨てて根元からシュートの発生を促す。
    全体として1/3〜1/4を目安とし、枯れ枝、病枝、弱いシュートなどをまず除く。
    ハイブリッド・ティー系は花数より大花を咲かすのが目的なので、全体の1/2〜1/3の強剪定を行う。その他、不良枝を除くことはフロリバンダ系と同様とし、次いで前年枝以降に伸びた発育枝を整理し、その後、枝配りを考えて二番枝の中間の丸味のある外芽の上で切る。
    ・秋の剪定
    秋の開花をよくするための軽剪定で、8月下旬〜9月上旬の間に、フロリバンダ系は病枝、弱小枝、ふところ枝と開花後の花房などを、ハイブリッド・ティー系は更に春から伸びた二番枝などを中ほどで切る。また、シュートは先端を切り捨てる。
    ・病害虫
    芽が動く頃になると、アブラムシが発生しやすくなるので、マラソン乳剤かスミチオン乳剤の千倍液を散布する。また、黒星病予防にはオーソサイド水和剤80か、ダコニール千倍液を週1回、うどんこ病にはダコニール千〜二千倍液を、湿り気の多い春先や梅雨期、秋の長雨期などに2〜3回散布する。
    ・肥料
    4月上旬に、IB化成を一本当たり一握り(尿素化成であれば軽く一握り)根元にまき、浅くすき込む。中旬に入ったら半握りをすき込む。
    5月の開花後、IBや尿素化成を一握り株間にまき、浅く中耕する。
    6月にはIBを30日に1回、一握りを、尿素化成は15日に1回軽く一握りを同様に与える。
    7月上旬に秋の開花のための力肥として堆肥8ℓ、魚かす200g、油かす150g、リン肥150gを根を傷めないようにすき込む。
    8月は剪定前に樹勢をつける追肥を与える。9月は秋の剪定後IB及び尿素化成を各半握りばらまき、更に二週間後も同様に施肥を行う。
    台風にあった場合は、ヨーゲン1号を水10ℓに3gとき、間を2日あけて2回葉に散布して回復させる。12〜1月にかけては寒肥として堆肥か牛ふんをバケツ一杯、株間に30cmくらいの溝を掘って入れ、根の近くにはリン肥をまいて土をかける。
    ・灌水
    バラは肥料と共に非常に水を要求するので雨のない時は3日おきに灌水する。冬は10日おき。4.ふやし方
    切り接ぎは12月末〜2月の間に、バラの実生二年苗を台木にして行う。
    また、芽接ぎは5月末〜10月にかけて行う。
    活着のよいものは挿し木(2〜3月または6〜7月)もできる。
    なお、スタンダード仕立ては直立したながさ1〜2mの台木の上部にあまり伸びない性質の品種を芽接ぎし、上部だけに枝を茂らせる。
3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ボケ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国原産で、北海道をはじめ各地で栽培され、3〜4月頃、赤または白色の径3cmの5弁花をつける。花色、花形(八重咲きほか)、開花期、樹高など、品種により変化に富む。
枝は粗につき、小枝には硬いとげがある。日当りのよい所であれば、樹勢は強健で耐寒性があり、水分に富む肥よく地を好む。

◇ボケの仲間
○クサボケ
匍匐性で朱紅色の花を開く日本の野生種で、下草として群植する。

2.用途と配植
和洋いずれの庭または公園の単植、群植、または生垣などに用いられる。

3.手入れのポイント
根の活動は秋末から盛んになるので、10〜11月に強い剪定を行う。
また、移植も9月下旬〜11月にかけて行う。
夏の乾燥を嫌い、葉をふるうことがあるので注意する。
近所にカイズカイブキやビャクシンがあるとサビ病になりやすいので注意が必要。

4.ふやし方
9月下旬〜10月に、挿し木または、ひこばえを取り木する。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ヤマブキ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
北海道南部以南の各地に野生し、4〜5月頃、黄色の5弁花をやや垂れた枝につける。半日陰くらいのやや湿り気があり、水はけのよい腐植質の肥よくな壌土を好み、西日を嫌う。
萌芽力が強く、毎年多くの緑枝を出すが、2〜3年を経たものは根元から切り取って更新する。八重咲きも多く用いられている。

◇ヤマブキの仲間
○シロヤマブキ

別属で白花4弁の花を開き、花後黒く熟して枝に残る4個の果実をつける。
本州の中国地方のほか、四国、九州、沖縄などに自生する。

2.用途と配植

庭園、公園の添景樹として、樹陰などに単植または、寄せ植えを行う。

3.手入れのポイント
植え付けに当たっては腐葉土などを入れ、また乾燥のはなはだしい時は敷きわらなどを行う。
花は当年枝につくので、古い枝や込みすぎたものは1〜2月に地際から刈り、強い枝を春に出させる。寒肥として堆肥、鶏ふん、化成肥料、油かすなどを与える。

4.ふやし方
株分けまたは挿し木を3月頃に行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ユスラウメ   (バラ科)

  • 陽地を好む樹木
    ・花を観賞する樹木
    ・果実、実を観賞する樹木1.特徴
    中国中〜北部原産。
    ウメやサクラと同じ属で、高さ2〜3m。多数に分枝し、4月頃淡紅色で5弁の花を多数開く。
    その後、6〜7月頃には径1cmのルビーに似た美しい球形の果実を結ぶ、これは食用になる。
    葉には表裏ともに毛が密生し、上面はしわがよる。2.用途と配植
    花よし、実よしの花木として、日当りまたは半日陰の添景樹として特に和風の庭に向く。
  • 3.手入れのポイント
    やや粘質の肥えた土質で乾きすぎない所が適地で、秋末から春、発芽前に堆肥、腐葉土などを入れて植える。
    株立ち状にまかせて育て、あまり強い剪定は行わずに、特に前年枝は開花が済むまでは手を入れない。
    ひこばえは多数でれば適宜取るが、株立ちが寂しいときは少数を伸ばす。
    夏期の乾燥に注意する。4.ふやし方
    地下からでるひこばえに土を盛って行う取り木が最も容易。
    全体に盛り土して株分けしたり、実生することもできる。
3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ユキヤナギ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
本州関東以南から四国、九州の原産であるが、北海道まで植えられている。
3〜4月頃、四方に群生する枝先全体に、白色5弁の小花を密生してつける。
耐寒性、耐暑性に優れ、樹性が強く、日当りがよく、排水のよい有機質に富んだ肥えた所を好み、新枝の発生も盛ん。

2.用途と配植
庭園、公園で広く用いられ、添景として植えたり列植して肥培すると壮観。

3.手入れのポイント
植え付けは秋か春先に行う。穴を大きめに掘って堆肥や落ち葉をすき込み、やや高植えにする。
花芽は9〜10月頃にその年に出た枝につき、翌春開花するので、剪定、切り戻しは花の済んだ後に行う。
肥料は寒肥と花後及び秋に油かすと化成肥料を与える。
うどんこ病が発生したらトリフミン水和剤、アブラムシにはスミチオン乳剤を散布する。
株の更新を3〜4年目に行えば、長く花を楽しむことができる。

4.ふやし方
株分けは春と秋に行う。挿し木は春先に行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

リキュウバイ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国北部の原産、樹高2〜3mになり枝を広げる。
葉は狭い倒卵形で薄く、下面はやや白色を帯びて5〜6月頃新葉とともに径3.5〜4cmの白色の5弁花を開く。
日当りと水はけのよい、乾きすぎない肥よくな砂質壌土でよく成長開花する。
寒地に向いている。

2.用途と配植
強風の当たらない所の添景樹にする。

3.手入れのポイント
植え付けは春秋ともによいが、土を軟らかく耕し、堆肥や腐葉土を混ぜる。
生育中は軽剪定にとどめ、樹形の乱れたものは12〜2月の間に強く切り詰めて整姿する。
冬期は寒肥を与え、夏の乾燥の激しい頃は根元に敷きわらや灌水を行う。
移植は好まないが、やむおえず行う場合は古い木であれば前年の落葉期に根回しを行い、土を付けて丁寧に行う。
植え付け後も幹にわらなどを巻いて保護する。

4.ふやし方
秋に熟した種をとりまきするか、3月まで湿った砂中に保存してから実生する。株分けも可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

サンザシ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木
・果実、実を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
中国原産で、朝鮮半島から渡来したもので、1734年小石川植物園に植えられた。
高さは1.7mで、枝にはとげがあり、葉はくさび形で荒いきょ歯がある。
果実は赤熟して薬用になり、二日酔いに効くといわれている。
北海道にはエゾサンザシがある。
いずれも庭木としてはあまり使われないが、海外ではセイヨウサンザシやアカバナサンザシがよく使われる。

◇サンザシの仲間
○セイヨウサンザシ
ヨーロッパ、北アフリカ原産で、5〜6月に白色か淡紅色の花が樹冠いっぱいに咲く。生垣によく使われる木で、ドイツではハーゲドルン(ハークは生垣のこと)という。
古代ローマ時代には乳児のゆりかごに小枝を添えて厄よけにしたという伝説もあり、原産地と古い伝承との関わりが推察できる。

2.用途と配植
洋風の庭に植えられる。庭垣か刈り込んで玉物にして低灌木と混植するとよい。寒さにも強く刈り込みもでき、これといった手入れをする必要はない。

エニシダ   (マメ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
ヨーロッパ原産で古くから日本に渡来し、北海道中部以南から沖縄に至各地で栽培されている。樹高は1〜3m。
4〜6月頃小枝の節々に蝶形で黄色の花を1〜2個ずつ開き、その後さやの実を結ぶ。枝は緑色で垂れ、葉は三出の複葉か、単葉。
日当りのよいところであれば強健で萌芽力も強いが、頭が重くなり風には弱い。耐潮性があり石灰質に富む砂質土壌を好む。

◇エニシダの仲間
○ホホベニエニジダ
花に赤いぼかしが入る品種で、ヒメエニシダは丈が低い黄花種。
別属のムレスズメは中国原産で高さが1〜1.5mでとげがあり、5月頃黄色の蝶形花を開く。まれに公園や庭で見られる。

2.用途と配植
公園、庭園で景観木として、単植、列植、群植のほか、海岸や傾斜面の緑化にも使える。寒地にも向く。

3.手入れのポイント
整姿は花後に行えば、その後伸びた枝の葉腋に花芽がつく。
風や雪折れなどの被害を免れるため、適当に枝を間引く。
根が粗いため、古い木の移植は困難。
寒地では冬に囲いを行う。

4.ふやし方
3月末〜4月に実生がよい。4月上旬に挿し木もできる。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ハナズオウ   (マメ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴

中国原産で樹高は3〜5mに直立する。
丸いハート形の葉をつける。
4月頃、紅紫色の蝶形花を枝の所々に集めて開く。
日当りを好み、水はけのよい肥えた砂質壌土に適し、生育は旺盛。

◇ハナズオウの仲間
○アメリカハナズオウ
カナダハナズオウともいわれ、6〜8mになるやや高木。花は小さく花の色も淡い。

2.用途と配植
公園、庭園で群植または単植するが、高性になることを考えて植える。
北海道南部以南で栽培が可能。

3.手入れのポイント
ひこばえが根元から出るので主な枝づくりまでは取り除き続ける。
肥料は元肥に腐葉土や堆肥を入れ、花後もお礼肥に化成肥料を与える。
移植は根が少ないので注意が必要。

4.ふやし方
実生は3月が適期。
3〜4年目に開花し、ひこばえも株分けに利用できる。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ハギ類   (マメ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
秋の七草の一つとして有名。新茎は草状で、根元から四方に枝垂れる姿が風情に富むため古くから日本人に好まれ庭に植えられている。
茎は冬も木質になって残り、春になってそこから発芽するが、そのまま伸ばすより秋になったら根元付近から刈り取り、春に下から芽を出させて新茎を立てた方が芽出しが楽しめるとともに、その後の株立ちを整えることができる。
いわゆる咲き乱れた状態に園地一面に植えることも楽しみ方の一つであるが、一株でもじゅうぶんに広がれるスペースが必要。

◇ハギ類の仲間
○ミヤギノハギ
ハギの仲間のうちでも、枝がよく垂れて瀟洒名な味わいの深いもの。本州の東北から北陸、中国地方の山地に分布し、小葉は長楕円形で先がとがり、7〜10月に紫紅色の蝶形花を穂につけて咲く。日当りのよい腐植質に富んだ肥よく地を好み、広く開張して枝を垂下させる。白花種もあり、いずれも優美なもの。
○ヤマハギ
日本各地の山野で高さ2〜2.5mの株立ち状に自生する。ミヤギノハギに比べて葉は広楕円形で毛があり、花穂もやや短く、枝垂れも少ない。樹性も強く扱いやすいのでかなり広く植えられている。
7〜9月頃紫紅色の花を咲かせる。
○キハギ
本州、四国、九州の山野に生え、40〜80cmで幹は太いのでキハギ(木萩)と呼ばれる。
枝は上方でよく分枝し、葉は長卵形で先がとがり、花は淡黄白色に紫斑がある。
純白の花の種もある。
○マキエハギ
本州中南部以南の各地に自生する樹高40〜60cmのハギ。
茎が細く、硬く、葉も小さく、花も4〜5mmの小型。花色は紅紫色または白色で、蒔絵模様のハギの精密な美しさがあり、和風庭園に用いることがある。
○クロバナナキハギ
小型のハギで、九州南部に自生し、淡紅色の小花を散生し、マキエハギ同様に庭の敷き石や飛び石沿いに植えたり、石積みの目地などに植えると可憐。

2.用途と配植
日本庭園に寄せ植え、群植してよく合い、公園や土堤、斜面にも列植や群植される。

枝先がじゅうぶんに広がるように間隔を取って風の当たらない所に植える。

3.手入れのポイント
春の芽の動きが速いので、11月〜3月中旬頃までにじゅうぶん大きな穴を掘り、堆肥を多めに入れてやや高めに植える。当年枝に花を持つので、剪定は秋の落葉後か春先に根元で切り取る。肥料は寒肥として鶏ふんや油かす、化成肥料などを与える。台風など強い風の当たる時は支柱などを施すか、束ねて縛り保護する。アブラムシがついたらスミチオン乳剤の千倍液を、うどんこ病にはトリフミン水和剤の二千倍を散布する。

4.ふやし方
株分けは秋に幹を3〜5本つけてできるだけ根を長くつけて行い、挿し木は寒中に穂を長くとり、乾燥させないように土中に埋めておき、芽が動く前の3月に挿すか、6〜8月に新梢を赤土か鹿沼土に緑枝挿しを行う。
また、鉛筆程度の太さの根を10cm切り、頭を少し出して床挿し(根挿し)を行うことも可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ムクゲ 【別名】ハチス   (アオイ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
中国の原産。北海道以南の各地で植えられ、樹高は3〜4m。
8〜9月頃 紫紅色の5弁で径5〜7cmの1日花を次々に開く。
葉は卵形で浅く3裂し、花は当年枝の先の方につく。
日当りさえよければ土質もあまり選ばずよく育ち、耐寒耐暑性もあり強健。
品種として八重咲きや白花、あるいは白花の芯が紅い日ノ丸、宗旦その他淡紫、絞りなどもある。

2.用途と配植
庭園、公園に寄せ植え、単植するほか、境界木、生垣にも列植される。

3.手入れのポイント
特に整姿しないでも自然にほうき状に立ち上がるが、枝が込みすぎるようであれば落葉期に間引きする。
成長もよいかわりに肥料もよく吸収するので、寒肥に堆肥や鶏ふんを、また、6月と9月に化成肥料を与える。
アブラムシがつくことがあるのでマラソン乳剤の千倍液を散布する。
寒地では冬に防寒する。

4.ふやし方
3月下旬に前年枝、6〜7月に当年枝を挿し木する。
秋か春に実生してもよく、また、株分けも可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

フヨウ   (アオイ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国原産。本州の一部(伊豆・南紀・山口)四国南部、九州、沖縄に野生化。
高さ1.5〜3m、7〜9月(沖縄では11月まで)の間に、径10〜14cmの淡紅色の1日花を上部葉腋に開く。葉は浅裂する掌状葉で、花以外は毛を帯びている。花には白色のものや八重咲きもあり、スイフヨウは八重咲きで花色が白から紅色に変化する。
樹性は強健でよく成長繁茂する。
日当りを好むが、乾燥地を嫌い、潮風には耐えるが寒さには弱く、移植も好まない。

◇フヨウの仲間
○アメリカフヨウ
北アメリカ東部が原産地。変異性が高く、花型、花色の変わった多くの品種が作出されている。中には花の径が30cmに及ぶ大輪咲きもある。
○ソコベニアオイ
北アメリカ東部原産。花心部が赤く、フヨウなど他の同属のものと交配されている。
○モミジアオイ
北アメリカ原産。沼沢地に自生し、花は深紅色で、葉は深く裂けた掌状で、庭園で古くから栽培されている。

2.用途と配植
庭園、公園、花壇で単植、寄せ植え、または列植など添景用になり、かなり粗放な扱いができる。

3.手入れのポイント
夏に当年枝に花芽ができて開花する。寒冷地では秋末に地表近くで切り、上部に土をかけて保護する(暖地では放任してもよい)。
冬の間に寒肥として油かす、鶏ふん、化成肥料などを与え、根元に堆肥などを敷いておけば寒さと乾燥を防ぐことになる。
スイヨウフは特に寒さに弱いので、防寒を行う。
移植にあたっては、根を傷めないように行う。

4.ふやし方
実生で、早くまけば年内に開花を見ることがあるが、一般的には翌年からとなる。
挿し木は3〜4月、または6〜7月に行う。
株分けは4月に行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

クロモジ   (クスノキ科)

・葉を観賞する樹木

1.特徴
本州、四国、九州の山地に自生する。
高さ2〜3mになり、樹皮に黒い斑点が入り、葉や幹を切ると香気が立つ。
雌雄異株で、4月上旬、新葉が出る頃に前後して淡黄緑色の小花を群がってつける。日照地より半日陰になるような有機質に富み排水の良い所を好み、渋い樹皮と風雅な樹姿は茶人好みの味わいがある。
小枝はクロモジ垣の材料にされ、葉からクロモジ油を取る。

2.用途と配植

和風庭園の景趣木として面白く、単幹に仕立てるのが一般的。
低く刈り込むこともできる。

3.手入れのポイント
萌芽力に富み剪定に耐える。株元からひこばえがよく出るので単幹仕立てであれば早めに切り除き、幹を早く太らせる。
植え込みに当たっては雄木の方が花が大きく数も多いのでこれを用いる。

4.ふやし方
大きな木は落葉期でも移植が困難なので、実生で育てるか小苗を植える。
とりまきにより実生を行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ロウバイ   (ロウバイ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国原産で江戸時代の初期に日本に渡来した。
早春の花として知られている。
高さ2〜3mに叢生する。
1〜2月頃、黄色の蝋細工のような径2cmの花弁の多い香りのある花を開く。
花弁とがく、ともに似た色をしていて区別ができず、内側の弁は暗紫色を帯びて小さくなる。葉は卵形で先がとがり、革質でザラつくのが特徴。
寒風と西日を避けて、日当りと水はけのよいやや湿りがちな肥よく地を好む。

◇ロウバイの仲間
○ソシンロウバイ
花全体が淡黄色のもので、早咲き系もある。
○トウロウバイ
葉が短くて厚く、花は大型で花心は暗紫色を帯びるが香りは劣る。
○アメリカロウバイ
クロバナロウバイ属のものでアメリカ原産。赤褐色か緑紫色の花を5〜7月に開くが香りはない。
○クロバナロウバイ
北アメリカ原産、5〜6月に咲く赤褐色や緑紫色の花。香りはないが、ソシンロウバイと同様に、茶花として喜ばれる。
○ナツロウバイ【別名】シャラメイ
中国中南部原産。5〜6月に6〜7cmの大輪で白弁に淡紅色の覆輪が入る大輪を咲かせる。花に香りはない。栽培はチッ素過多を避ける。

2.用途と配植
庭園樹にふさわしいもの。公園にも使われることがある。

3.手入れのポイント
植え付けは秋末か開花直後が適期。穴を大きく掘り、堆肥を入れてよく耕してから行う。
植え終わったら、根元に敷きわらを行う。
当分の間は伸びるに任せてあまり切り込みは行わない。
木の勢いがついて繁茂するようになったら花後に込んだ枝を元から間引き、開花を促す。移植は好まないが、行う場合にはあらかじめ根回しをする。
肥料は寒肥の他、5〜6月と8月下旬〜9月に油かすと化成肥料を充分に与える。コウモリガの幼虫が株元付近を食害したら食入孔から針金で刺殺する。

4.ふやし方
種子をとりまきすると4〜6年で開花する。
接ぎ木は実生2〜3年の苗か、根の部分に3月中〜下旬に行う。
環状はく皮による取り木も可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

キブシ 【別名】キフジ/マメフジ   (キブシ科)

・花を観賞する樹木

1.特徴
北海道西南部から日本全土の山地に自生する。
高さは2〜3m、3〜4月頃黄色で6弁の小花を多数穂状に垂らせて咲かせる。
耐寒性が強く、陽地、半陽地ともに生育し土質も選ばないので欧米でも庭園に用いられている。
雌雄異株で、果実を五倍子(ヌルデの芽や葉にできる虫こぶで、染料や薬用に使われる)の代用にする。

2.用途と配植
庭園、公園の添景用。

3.手入れのポイント
土質は選ばないが、やや湿り気のある所でよく育つ。
雌株より雄株の方が穂が長いのであらかじめ確かめておく。剪定は特に樹形の乱れた時のみ行う。8月頃花芽ができるので、それ以後は注意する。
肥料は寒肥として化成肥料、油かす、堆肥などを与える。

4.ふやし方
実生が容易で3月にまく。また、3月と6〜7月には挿し木も可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ムラサキシキブ   (クマツヅラ科)

・果実、実を観賞する樹木

1.特徴
北海道以南の各地と、朝鮮、中国に及ぶ山野に分布する。
樹高は1〜2m。
6〜7月頃、前年枝の葉腋の短枝に淡紫色の小花を多数つけ、10〜11月に小球果が紫色に熟し、落葉後も楽しめる。
日当りでも半日陰でもかまわないが、土地が乾かない肥よくな有機質に富む土壌を好む。

◇ムラサキシキブの仲間
○白実のものや大実、小実のものもある。よく庭に植えられているものにコムラサキがある。

2.用途と配植
和風庭園、特に雑木の庭などに好適で、単植して秋末から冬の実を観賞する。

3.手入れのポイント
3月中下旬の植え付けが適期。
堆肥や腐葉土を入れた土に、元肥として油かすか、化成肥料を入れる。
萌芽力はあるが、強剪定は行わない。
ただし、長い枝が伸びすぎる時は、基部4〜5芽を残して切る。
また、ひこばえなども除き、4〜5本立ちの自然形に仕立てる。

4.ふやし方
実が落ちる頃、果肉を洗い砂中に貯蔵し、3月にまき、わらなどをかけて乾燥を防ぐ。3月か梅雨期に挿し木も可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

フサフジウツギ 【別名】ブッドレア   (フジウツギ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国原産。樹高2〜3m。
園芸上ブッドレアと呼ばれ、フサフジウツギを中心にして改良された品種群。
7〜10月頃、長さ20cmの穂を頂生し、淡紫色で、のどが橙黄色の芳香の

ある小花を密生して咲かせる。品種が多く、花色は白から桃藤色、紫に至るまであり、花穂の長さも40〜50cmになる。
丈夫で寒さに強く、毎年新しく出た枝に花をつける。やや乾燥を好むので、排水の良い適湿の砂質土壌に向いている。
株立ちは横に張る。

2.用途と配植
洋風の庭園や公園で、芝庭などに添景樹として単植や群植をする。この花を好んでチョウが訪れる。

3.手入れのポイント
植え付けは3月中旬以降が適期。根が粗いので上部を切り詰め、元肥に鶏ふんと熔成リン肥を少量入れて植える。剪定は春に主な枝の数芽を残して切る。
寒肥には元肥と同じものを与える。

4.ふやし方
梅雨期に赤土または砂に挿し木を行う。
水揚げが悪いので、あらかじめ水を吸わせ葉を切り詰めてから挿し、日陰の所に置く。それ以後は乾燥に注意する。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

トサミズキ   (マンサク科)

・陽地を好む樹木

1.特徴
四国の高知県の山地に自生し、高さは2〜3m。株状に伸び、3〜4月頃、前年枝の先や節から5弁で淡黄色の花を7〜8個、垂れた穂につける。
日当りでも半日陰地でも育ち、排水の良い腐植質に富む肥よくな適潤地を好む。

◇トサミズキの仲間
○ヒュウガミズキ【別名】イヨミズキ
本州の岐阜、石川、福井、京都、兵庫と四国の高知、九州の宮崎などの山地に自生する。トサミズキより葉も花も小さく、枝が細く、花数は少ないが風情がある。植え付けは日当りのよい場所に限る。

2.用途と配植
公園、庭園の添景用に寄せ植えまたは、列植する。

3.手入れのポイント
秋よりも春先に植えた方が安全。植え込みの際は堆肥や腐葉土を与える。
整姿を行わなくても形は整うが、太い枝を2〜3本にして小枝を少なく仕立ててもよく、刈り込みも12〜2月の間で行う。

4.ふやし方
挿し木は2月下旬〜3月上旬、株分けは3月上〜中旬に行う。
実によるとりまきも可能。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

落葉ツツジ類   (ツツジ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
落葉ツツジは常緑性を比べ、一般的に寒さに強く、より寒冷地に適する。
エクスバリーアザレアを除いて、いわゆる「山の木」で園芸種ではない。性質も強いものではないが花が美しいので適地で植える。

◇落葉ツツジ類の仲間
○ミツバツツジ
本州の関東、中部、東海、近畿地方の山地に分布する。
高さ1.5〜2m。枝は車輪状に出る。
3月下旬〜4月上旬頃に、葉に先立ち淡紫色〜濃紫紅色の径3.5〜5cmで5裂の花を枝の先に2〜3個ずつ開く。
弱〜中酸性の火山灰土を好み、あまり乾燥しすぎない弱光線の所が適地。
トウゴクミツバツツジ、サイゴクミツバツツジ、コバノミツバツツジ、ナンゴクミツバツツジ、トサノミツバツツジ、タカクマミツバツツジその他、山地により別種がある。
○レンゲツツジ
北海道南西部以南の日本各地の高原または平地に生える葉と花が有毒の低木で、高さは1〜2m。4〜6月の間に葉より少し早く前年枝の先に

朱紅色の5裂した花を2〜8個咲かせる。日照地または半日陰地が適し、土壌に湿気をもち、水はけのよい腐植質や火山灰土を含む土地でよく育つ。
黄花のものをキレンゲツツジという。ミツバツツジと同様の扱いとする。
○この他、シロヤシオツツジ(ゴヨウツツジ)は白色花、ヨドガワツツジは朝鮮原産で紅紫色の八重咲き、エクスバリーアザレアは北アメリカや東洋のレンゲツツジ類をもとにした交雑品種で、色の変化が多く寒さに強く、寒冷地に適する。

2.用途と配植
庭園の他、公園の修景用として単植か寄せ植えにする。

3.手入れのポイント
植え付けは落葉期に北風の当たらない所を選ぶ。
土が粘土質の場合はピートモスか腐葉土を多く混ぜて与える。
特に剪定の必要はないが、高さを抑えたいときや込み枝は枝の元から最小限切り詰める。肥料は早春に油かすなどを与え、堆肥を根元に敷くと効果がある。

4.ふやし方
春、水苔に実生するか、ミスト室で挿し木を行いふやす。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ドウダンツツジ(ツツジ科)

・陽地を好む樹木
・葉を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
本州の伊豆半島以西から、四国、九州の山地に自生する。高さは1〜9m。
4〜5月に新葉とともに枝先に白色のつぼ状の花を数個さげて開く。
葉も小さく枝も細かく分かれてつき、春の新葉と秋の紅葉が美しい。
日照地がよいが、半日陰地でもよく育つ。やや湿り気のある

軽い土で生育する。

◇ドウダンツツジの仲間
別属のツリガネツツジは紅紫色の長めの釣り鐘状の小花をつける。

2.用途と配植
萌芽力が強く、刈り込みに耐えるので、丸く仕立てて単植または寄せ植えにしたり、生垣、緑どりにも用いられる。

3.手入れのポイント
5月末〜6月上・中旬に今年伸びた新梢を1〜2時間水揚げしてから挿す。
活着したら玉仕立ては上に伸びた枝を切り詰め、側枝が一本でも多くなるように初めは軽く、次第に強く刈り込んで仕上げていく。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ミツマタ   (ジントウゲ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国、ヒマラヤ地方の原産、高さ1〜2m。
3〜4月頃、前年枝の上部のわきに、黄色の筒状の小花を多数球状につける。
枝は3本ずつ分かれてつくのでこの名がある。
樹皮が強靭なので、古くから和紙の原料にされてきた。
日照地でも半日陰地でもよいが、湿り気のある水はけのよい肥よくな耕土の深い所を好む。
最近は花色が紅色の品種や、中国・ヒマラヤ産の花がひと回り大きい種類が出回っている。

2.用途と配植
早春の変わった花として喜ばれる。単植あるいは数株を和洋の庭園、公園、教材用として学校園などに植える。

3.手入れのポイント
ジンチョウゲと同様に、大きなものの移植は難しい。
剪定は特に必要としない。
寒肥として堆肥などを与える。

4.ふやし方
赤土を床土にして、根元からでる徒長枝を芽の出る前の3月頃挿し木する。
秋にはビニールなどで覆って防寒し、3年目から植えだす。
箱挿しにすれば冬の保護は容易。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ナツグミ   (グミ科)

・陽地を好む樹木
・果実、実を観賞する樹木

1.特徴
高さ2〜3m、小高木ないし低木で、よく分枝し、古い木では曲がりくねることがしばしばある。
葉には初め両面に白いりん粉がつき、後には裏面だけに残る。
4〜5月に葉腋に淡黄色の先が4裂した小花をつけ、6〜7月に楕円形の実が赤く熟して食べられる。
日当りで湿り気のある土地を好むが、土質はあまり選ばない。枝にとげの出ることがある。

◇ナツグミの仲間
○アキグミ
川原に多く、実は球形または広楕円形で10月頃赤熟する。トウグミはナツグミの変種で枝にとげはなく、葉は楕円形で実も大型。

2.用途と配植
庭園で添景や生垣になるが、あまりみることは無い。

3.手入れのポイント
寒肥に堆肥、油かす、鶏ふん、化成肥料などをあたえるとよい。
萌芽力があるので強い剪定もできる。短枝を残し徒長枝は2〜3葉で切り詰める。

4.ふやし方
主としてとりまきの実生を行うが、2〜3月に挿し木もできる。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

フジモドキ 【別名】サツマフジ/チョウジザクラ(ジンチョウゲ科)

・陽地を好む樹木
・暖地に適する樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国南部と台湾の原産。九州では古くから知られている。
樹高は1m、軟質のよく分枝する細い枝を直立させる。
葉は、長さ3〜5cmの長楕円形で、葉の裏面や小枝に細毛がある。4月の葉の出る頃に先立ち、前年枝の葉腋に輪状に数花を段状につける。
花は淡紫色で径が1cm、先が4裂し芳香を放つ。漢名を芫花(ゲンカ)と言い、がく筒が長いのでチョウジザクラの名もある。主に関東以南で用いられるもので、鉢づくりのものも出回っている。
花や実には毒性がある。

2.用途と配植
下木としては黄色や紅花の花の多い季節に色変わりとして珍しいもの。土地のあまり乾かない、日差しも強くない所に寄せ植えする。

3.手入れのポイント
有機質に富む土に花の前後に植え、伸びすぎる枝があれば芽の所で切り詰める。

4.ふやし方
側根を春に10cmくらいに切り、根伏せを行うか枝挿しを行う。
*根伏せ:挿し木の一種。根を挿し穂にして、挿し床に対して水平に寝かせるように埋めて新株を得る方法。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

サンショウ   (ミカン科)

・果実、実を観賞する樹木

1.特徴
北海道南部以南の各地の林内や低い山に自生する。
樹高は3m、雌雄異株の低木。
4〜5月頃、小枝の先に緑黄色の小花を穂につけて開き、雌花は実を結ぶ。
果実は10月頃赤熟し、中から黒い実を散らす。
羽状複葉の葉は香気が強く、基部には一対のとげがある。アサクラザンショウには殆どとげは無く、イヌザンショウは芳香が無くとげは一本ある。
陽地でもよいが、半日陰地を好み、根元が乾かない所が適する。

2.用途と配植
新葉や実を香辛料とし、庭木としても野趣が楽しめる。
雌木を植えれば実がとれる。

3.手入れのポイント
小苗の方が活着がよく、腐植質に富む壌土に植え、当初は灌水を続ける。
根元の乾く所は敷きわらを行う。
連作を嫌う。

4.ふやし方
種をとりまき、または春にまくのが容易。
確実に雌木が欲しい場合は挿し木か取り木を行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ボタン   (ボタン科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国西部山地の原産で6世紀の頃から栽培され、中国では花の王として国花になっている。日本への渡来も古く、観賞の歴史が長いもので、多くの品種が作られてきた。現在200種以上あると言われ、花期別に、早咲き、春咲き、遅咲き及び寒咲きに分け、花型は一重、半八重、八重、千重咲きがあり、花色も白、紫、紅紫、黒赤、紅、淡紅色などがある。
黄色品種もあるが、これは同属で中国雲南省原産のルテアなどとの種間交雑で作られたもので、花首が弱いものが多くある。
また、やはり雲南省原産のデラバイとの交雑種も作られている。
樹高は1〜2m。花期は春咲きが5〜6月で、寒咲きは11〜12月頃。
日当りがよく強風が当たらない、肥よくであまり乾燥しない耕土の深い砂質壌土、または粘質土が適地。樹性は強く、寒さにも抵抗力がある。

2.用途と配植
庭園向きで点植または牡丹園として群植する。
1〜1.5mの間隔で植え、一部寒牡丹を入れると二季楽しめる。

3.手入れのポイント
1)植え付け
新根の発育は9月中旬頃から始まる。植え付けはその下旬から10月頃行う。

乾きやすい土質なら、乾燥牛ふんを充分いれ、鶏ふんか油かすを混ぜて大きな穴に植える。その際、1年苗は基部の1〜2芽を残し、2年苗は花芽を残して不要の葉芽をの除く。
根元には堆肥を敷く。
2)剪定・整姿
7月上旬には花芽の形成が始まるので、6月頃までに先端に近い芽を除き、下部の芽の発芽を促して樹形を作る。
9月に入ったら花芽の先の茎とふところ枝、枯れ枝などを切り、その後も翌春にかけて根元から出る芽をかき取っておく。
3)病害虫
芽出し頃から月に2〜3回、ベンレート水和剤をまいて、灰色かび病、さび病、紋羽病などを予防する。ミノムシは捕殺、カイガラムシは歯ブラシなどでかき取る。根にネマトーダ(ネコブセンチュウ)でコブのできていないものを植える。
4)施肥
2〜3月の芽出し肥えと、花後のお礼肥えを与え、芽出し肥えには油かすの腐汁、お礼肥えには魚かすか鶏ふんを用いる。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

メギ 【別名】コトリトマラズ/ヨロイドオシ   (メギ科)

・陽地を好む樹木
・果実、実を観賞する樹木
・葉を観賞する樹木

1.特徴
本州、四国、九州の山地に自生し、高さは1〜3m。
4〜5月の新葉が出る頃、葉腋から黄白色、6弁の半開の小花を2〜3花ずつ下向きに開く。
秋から冬にかけて小さな赤い液果を結び、紅葉も美しい。
枝葉は密生し、葉は小型で枝にはするどいとげがある。
寒さにも強く、日当りのよい肥よく土を好む。

◇メギの仲間
○紫紅色の葉のものや、やわい性種もある。メギの仲間(ベルベリス属)には常緑の一群があり、欧米では重要な花木として改良されている。

2.用途と配植
公園、庭園の刈り込み仕立ての他、生垣にもなる。

3.手入れのポイント
根が粗いので植え付けは枝を切り詰め、3〜4月か、10〜11月に行う。
剪定は、徒長枝を除く程度で、刈り込みは春の成長が止まった頃に行う。
肥料は、寒肥として化成肥料か油かすを与え、うどんこ病にはトリフミン水和剤をまく。

4.ふやし方
挿し木、実生、株分けなどができる。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ウメモドキ   (モチノキ科)

・陽地を好む樹木
・果実、実を観賞する樹木

1.特徴
本州、四国、九州に自生し、北海道西部まで植えられている。
樹高は2〜3m、雌雄異株で果実は10〜11月に紅熟し、小鳥が喜んで食べる。葉が、野梅に似ているのでウメモドキの名があるが、花はあまり目立たない。幹が細く株立ち状で、樹姿に風情がある。
日当りのよい肥よく地を好み、移植は容易だが、乾燥地では葉が傷み、実つきもよくない。
品種ニキミノウメモドキ、シロミノウメモドキがある。
果実を楽しむにはいずれも雌木を植える。

2.用途と配植
和風の庭にうってつけの花木で、地際から幹を数本立てて灯ろうや手水鉢に添えるとよい。サツキ、アセビなどを配植すると引き立つ。

3.手入れのポイント
1)植え付け
10〜11月が、3月が適期。乾燥しないようにマルチングする。
2)剪定・整姿
樹姿が面白いので、刈り込み仕立てにもできるが、自然形に仕立てるのが一般的。夏に伸びすぎた徒長枝を切り、冬に小枝の間引きを行う。

4.ふやし方
実生、挿し木、接ぎ木、取り木、株分けができる。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ニシキギ 【別名】ヤハズニシキ/衛矛   (ニシキギ科)

・陽地を好む樹木
・葉を観賞する樹木

1.特徴
北海道、本州、四国、九州の山地に自生する。
雌雄異株で樹高は2〜3m。枝にはコルク質の翼がついてロケット状をしている。花は5月に咲くが、黄緑色で目立たず、この木の持ち味はニシキギ(錦木)の名の通り、秋の目の覚めるような紅葉。特に、寒地での紅葉が見事。

◇ニシキギの仲間
○マユミ
昔、この木で弓を作ったので名付けられた。花は緑白色で目立たないが、秋には紅葉し、淡紅色のさく実を結び、熟すと4つに裂け、紅い仮種皮を持った種子を露出する。
○コマユミ
ニシキギによく似ているが枝に翼がない。小型のマユミの意味で名付けられた。

2.用途と配植
低木として庭の植え込みに使う。
平安時代には庭に植えて魔除けの代わりにしたという。

秋に美しい樹木なので、春のレンギョウ、ユキヤナギ、ハナズオウ、サツキなども配植すると、四季の彩りのある庭になる。

3.手入れのポイント
1)植え付け
10〜11月、または3月が適期。
2)剪定・整姿
自然形に仕立てるのが一般的であるが、マユミは高木に仕立てることができる。

カラタチ   (ミカン科)

・花を観賞する樹木

1.特徴
中国原産で、北海道南部まで植えられている。
別名を枳殻(キコク)といい、枝は緑色で稜があり、葉のつけ根にするどいとげがある。4〜5月頃、とげのつけ根に白色の花をつけ、果実は球形で10〜11月に黄熟し、すばらしい芳香を漂わせる。
中国から渡来したタチバナを略してカラタチと言う。
暖地では常緑になり、日当りのよい肥よく地を好む。
小型で花つきがよい一才カラタチもある。

2.用途と配植
庭木としては単独で植えるのがよく、生垣樹としてもよく使われる。
鉢植えでポーチに置いてもよい。
花も果実も観賞価値があり、高さも2〜3mになる。

3.手入れのポイント
植え付けは暖地性の木なので4月中旬以降、9月頃まで行える。
乾燥を防ぐためにマルチングを行う。
剪定・整姿は萌芽力があるので強剪定して思いのままに形を作れる。12月〜3月頃に行う。
繁殖は実生、接ぎ木でふやす。

キンロバイ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・寒地に勧められる樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
本州中部以北の高山から北地に自生している。
高さ1m、よく分枝し羽状複葉を持つ枝先に6〜8月頃、2〜3cmの5弁の黄色花を多数つける。
日当りのよい石灰岩付近を好み、姿のよい株立ちになり、北地の夏を彩る好ましい下木になる。
稚内の氷雪の門の碑前の植栽のほか、北海道各地で庭に使われている。
用途としては寒地の庭や公園の下木として好適で、石添え、ロックガーデンなどに寄せ植えまたは単植する。
別種にギンロバイがあるが、ほぼ同形の白色花を開くもので、東京でも火山岩に添えれば花をつける。

2.手入れのポイント
植え付けは春の萌芽前が適期。
西日の当たらない陽地を選び、火山の砂れきと腐葉土を入れて植える。
施肥は3月頃がよく、リン酸、カリ分を多く入れて行う。
ふやし方は、実生はとりまきか、翌年3月まき、また挿し木、取り木による。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ウリノキ   (ウリノキ科)

・日陰地を好む樹木
・寒冷地に勧められる樹木

1.特徴
名は瓜の木で、葉は薄く、3〜7浅裂しウリの葉に似るのでこの名があり、八角楓の名もある。
初夏に白色花を咲かせ、花弁は外へ反り返る。
全国の湿気のある日陰地に生育し、高さは3mで、低木として植え込みに混植するとよい。
野趣のある庭に向いている。
手入れはあまり必要ではない。